H30/2/19 全日杯 |
春、それは誰にとっても待ち遠しい季節。
…とはいきません。今から78年前の今頃、遥か北方の小国の民は、春が来るのを恐れていました。春が来る。雪が融ける。命芽吹く大地に、無限軌道の冷たい音が響く。
すぐそこまで、ソ連軍は迫っていました。
1940年9月末から10月にかけての12日間に相次いで、バルト三国はソ連軍の駐留を認めます。事実上の占領でした。
次にソ連が目を向けたのはフィンランドでした。小国ではあるが、抑えればヨーロッパ進出の要となるこの国にソ連は一方的な要求を出します。つい最近独立したばかりの取るに足らない小国だ、当然要求をのむことだろう。
ところで、フィンランドにはsisuという言葉があります。意味は「負けじ魂」。冷たい大地で、sisuの心を育んだ彼らはソ連にこう答えたのでした。
「かかってこい!相手になってやる!」
要求拒否を受けて、ソ連は11月30日に侵攻を開始、いわゆる「冬戦争」の火蓋が切って落とされました。
フィンランド軍は戦争に備え、歩兵19万人に増強。しかし装備は、対戦車砲120門、ビッカース6トン戦車が20両足らず、機関銃が4500丁、航空機160機でしたが、その中で1線級はフォッカーD21が36機だけであり、他は第一次大戦の装備の域を出ていませんでした。
対するソ連軍は、兵員数でも45万人と大きく上回っていましたが、それよりも大きかったのは砲1900門、戦車2400両、航空機670機という、圧倒的な装備の差でした。
それでもフィンランドは冬将軍や国土に広がる無数の湖沼と森林(ちなみにフィンランドの現地での呼び名であるスオミは「森と湖の国」という意味)、そして偉大な英雄カール・グスタフ・マンネルヘイム元帥の戦略などで、劣勢を僅かにではありますが、覆していきます。
モロトフ・カクテル、白い死神「シモ・ヘイへ」、そして長く伸びた隊列の最初と最後を撃破して動けなくなった敵部隊を包囲殲滅するという、いわゆる「モッティ」戦術による「雪中の奇跡」など、見所沢山の冬戦争。
その詳細と結末は、是非あなた自身の目でお確かめください!
さて、鹵獲戦車がソ連兵のケツを追っていたであろうこの日、私たち雄弁部も今年度最後の戦いに身を投じました。そう全日杯です。
亀戸で開かれた本大会は完全学生審査制。我が部からは弁士として古野裕理(政経1)が出場し、学生審査として大滝(法2)が選出されました。
奇しくも新旧広報局長となりました!
古野は第二弁士、「with, Robot」の演題のもと出場しました!
内容としては、AIの進化とその理想的な運用というテーマで行われた未来志向のものでした。このような未だ確定しない未来の状況、危難を主張するものは、現実性や具体性を欠きやすく、聴衆が弁士の訴えを想像しにくいという難点があります。
その点、弁士は具体的に状況説明できており、難しいポイントを上手く乗り越えていたような気がします。
ここだけの話、審査員の間でも納得気にうなづいている者も居りました。
弁論が終わり審査員から審査表が押収され、点数が決定されました。なお、大滝審査員は講評がなかなか書き終わらず、控室で結構焦って書きあげました(;´・ω・)
さて、結果は…
残念ながら入賞とはなりませんでした。
弁士の感想をお聞きください。
「初めての大会ということで、わからないことが多々ありましたが、周りの方々のサポートのおかげで無事出場することができました。残念ながら入賞には至りませんでしたが、今後演練補佐として職務を務める際に今回の経験を生かして、新入生の指導に励んでいきたいです。」
古野を含め現一年生が、これからは指導者、我が部の中心となっていきます。
ゆっくり頑張ってね!(AA自重)
【今日の名言】
さて数ケ月ぶりにやってきましたこのコーナー。
本日は前書きにちなんで、フィンランド救国の英雄カール・グスタフ・マンネルヘイム元帥の名言をご紹介します。
「自国すら守れない民族を他国が助けてくれるはずがない。もし、助けてくれることがあるなら、何か別の野心を持っているだけのことである。従って、大国に頼り切ることは大国に逆らうのと同じくらい危険である。」
「勇気と銃剣だけでは戦争に勝てない。どんな過酷な条件であっても、講和の機会は逃してはならない。戦果に酔ってはいけない。前線には恐ろしい現実が迫っている。私はどんな条件でも即時講和を支持する」
「戦える力がまだ残されている今こそ、和平交渉を行わねばならない。軍が壊滅した後、一体何を交渉材料としてソ連と協定を結ぶのだ。残されるのは、完全な屈服だけだ」
わが国に通ずるところがあるような、そんな名言です。