第30回拓殖大学学長杯争奪全日本学生雄弁大会「ぎょうこう」 |
導入
「全校生徒につぐ、今すぐ体育館に集合しなさい。繰り返す、今すぐ体育館に集合しなさい。」
このアナウンスが鳴ったあの日のことはいまも私の記憶の中に鮮明に残っています。
この放送が鳴ってから私はすぐに友人たちと話しながら体育館へ向かいました。
当時の私はこの放送を何の事かと思ったのでしょうか。高校内での火事か、それとも不審者でも入ってきたのか。はたまたコロナによる全員下校の知らせだとでも思ったのでしょうか。
しばらく歩いていき、体育館に着くと私を待っていたのはまさに自分の想像を遥かに超えた事実だったのです!
「全校生徒の皆さんに伝えなければならないことがあります。今日未明、我が高校の生徒の1人がお亡くなりになりました。」
頭が真っ白になりました。亡くなった生徒として伝えられたのは、私の中学の部活の後輩だったのです。
これは後から聞いた話なのですが彼の死因は自殺であり、同級生との間でいじめ被害にあっていたといいます。
なぜ彼はいじめ被害によって自殺しなければならなかったのでしょうか…
まだ高校生の彼が自殺をしなければその先の未来には数多の道があったかもしれないのです!
私は救えたはずの被害者達に死んでほしくはない!
彼らに生きてて良かったと思える機会をもう一度与えたい!
本弁論の目的は「いじめ被害者にいじめから回避する道をつくること」にあります
現状分析
文部科学省の調査によると、令和4年度のいじめ認知件数は68万2000件の過去最多を記録しました。
実際の調査をもとにするといじめの発生件数は認知件数よりも上回っています。
また日本における小中高生のいじめによって自殺を起こしたり、心身に重大な被害を負う、また長期の欠席を余儀なくされるといった重大事態の発生は923件でした。この重大事態の発生件数も過去最多を記録しています。
そして平成25年にもいじめ防止対策推進法を制定するなど、いじめ問題は国にとっても非常に問題視されています。
このように日本において身近ないじめは学校側にとってどのようなものなのでしょうか。
現状、学校側にとっていじめは証拠を集めづらいため、いじめ対応のハードルが非常に高く認めるのが困難なものとして扱われています。
それを理由としていじめへの対処をしをしようとしない学校が一定数いることも事実です。
またいじめによる転校には学校の意見書をもとにした教育委員会側の認可が必要なため、学校側のいじめへの対処は十分に行われているとは言い難い状況です。
ここで実例を挙げてみましょう。
これは2021年3月、大阪府泉南市の当時中学一年生あった男子生徒が自殺してしまった例です。彼は小学校6年時には不登校でしたが彼が心機一転中学校からは不登校しようと思った矢先、入学した頃から廊下などで「少年院帰り」などという陰口やクラスないでの集団的ないじめに合っていたという例です。当時彼はいじめのことについて兄などに「大人は頼れない」などと相談していました。
しかし、とうとう彼にも限界が来てしまい2021年3月に命を経ってしまいました。
これらの例の他にも、事実の隠蔽などが関係している自殺の事案は数多く存在しています。
深刻生・問題性
このようないじめを認めようとしない学校、いじめから逃れられない環境でを生活を強いられると被害者達にはどのような危険性があるのでしょうか。
いじめに晒され続けると、いじめ後遺症としてptsdやうつなどを発症してしまう危険性が生じてきてしまいます。
このような後遺症を発症してしまうと正常な判断が出来なくなってしまい自殺などに陥ってしまうのです!
このままではいじめ被害者達が、逃れることができたはずのいじめによって命を経ってしまうかもしれないのです!
原因分析
この凄惨たる状況を助長しているのは、学校と被害者でいじめに対する認識の乖離にあります!
現在、いじめ防止対策推進法上では「被害者児童が心身の苦痛を感じているもの。」と定義されています。
いじめの本質は学校内での人間関係からの苦しみであり、いじめの判断に客観性は必要とされません。いじめ被害者自身によって判断されるべきなのです。
しかし、実際には学校側による客観的な判断に委ねられています。
なぜ被害者の主観によって判断されるべきいじめが学校側に判断されてしまうのでしょうか!
このままでは被害者達がいじめによる苦しみを誰にも理解されないままではないですか!
これでは彼らはいじめから逃れられないまま、息絶えてしまうことさえあるのです…
彼らには、もっと簡単にいじめから逃れる道があるべきなのです!
解決策
そこで私はこの凄惨たる状況を改善に導く、ある2つの解決策を提示したいと思います!
1つ目の解決策は、「いじめによる転校を容易にすることです!」
現状の制度ではいじめによる転校には在学中の学校と教育委員会からの認可が必要です。かしいじめは人間関係の中からくる辛さそのものです。
そしてその人間関係からくる辛さは被害者自身によって判断されるものなのです。
そこで、この転校をいじめ家族と被害者、転校先の学校間にて完結させます。
具体的な方法として、転校の際に必要な在学証明書や教科用図書給与証明書の処理などは引き続き学校や教育委員会側が行います。
しかしいじめの認可に関わる校長の意見書などの提出などは行わず、いじめ被害者・家族と転校先の学校間のみで転校の手続きを行います。
これによりいじめ被害者が客観的に判断されることなく、被害者自身のいじめの判断によって転校が可能になるのです。
また被害者の8割は自分自身でいじめへの対処行動をとっていることからも被害者からの自発的な行動にも期待できます。
しかし、残りの2割の被害者にはどのように対処をすればよいのでしょうか!
そこで私は2つ目の解決策として
「匿名性のアンケートで残りの被害者からの助けを汲み取る」ことです!
自分でいじめへの対処行動を取ることのできない生徒たちの6割はいじめ被害を受けていることを面と向かって伝えることに抵抗があるからです。
そして残りの4割はいじめが悪化することへの恐怖であり、転校することで改善可能な理由となっています。
いじめ被害を面と向かっていえないのなら匿名性のアンケートによって被害を発露することは十分に期待できます。
そのアンケートを行った上で教員から被害生徒に転校が可能という対処方法などを伝えることで、被害者をいじめから逃すことが可能になります!
締め
我々が人間という感情を持っている生き物である以上、人間同士の不和というものは切ろうとしても切れないものです。
集団の中で生活している以上、いじめ被害者というのは絶対に生まれてしまいます。
いじめ被害者の判断によって簡単にいじめから逃れる道があれば彼らにこれから先の可能性を残すことにつながります!
その道を用意してあげることで救える命があるのなら絶対にやるべきなのです!
私は後輩のように息絶えていく若者を1人でも多く救いたい!
そして逃れた先で彼らへのぎょうこうがあることを私は心の底から願っています。

